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家族信託 解決事例

認知症対策

相続(税)対策

配偶者認知症対策信託

状況

相談者 Aさん 62歳男性 (家族 父81歳 母83歳(認知症))

Aさんの母は、重度の認知症のために施設に入所しています。
成年後見人としてすでに司法書士が選任をされています。
自宅不動産などは父親が所有しており、父親は相続の際には長男に不動産を引き継がせたいと考えています。
しかし、父の相続が起こった時には母が認知症のため、成年後見人と長男のAさんとの間で遺産分割協議をすることになります。(成年後見人が母親の代わりに遺産分割協議に参加するため。)
Aさんが市役所へ相談に行くと、「成年後見人は父親の生前の意思に関わらず法定相続分での遺産分割を請求してくるので、不動産が共有となってしまいAさんが自由に使用することができなくなる可能性が高い。」との話を聞きました。
何か有効な対策はないものかとAさんは悩んでいます。

配偶者認知症対策信託 図1

問題点

何も対策をしなければ、遺産相続が起こった際にはAさんと成年後見人とで遺産分割協議をすることになります。成年後見人は法定相続分は請求してくるので、父の意思に反して不動産は共有となってしまうことが予想されます。
たとえ、父が「不動産はすべて長男に相続させる。」というような遺言を残しておいてくれても、後見人は遺留分減殺請求をしてくるものと考えられ、その結果やはり不動産は共有となってしまいます。

問題の解決


家族信託を活用した場合

父親を委託者兼当初受益者、受託者を長男のAさん、第2受益者を長男のAさんと母親の2人とする信託契約をしておきます。
そして第2受益者の受益権の割合を、Aさん4分の3、母4分の1と指定しておきます。
母親にも遺留分相当額の財産を受益権として取得させることになるので、成年後見人が遺留分減殺請求をしてくることを防ぐことができます。
そして、不動産の名義自体は家族信託により受託者であるAさんの単独の名義になっているために、父の相続があっても不動産の所有権が共有となることはありません。(不動産の所有権は受託者に移転しており、受益権を長男のAさんと母親が準共有している状態となるため。)
また、母が受益権を取得した場合においても、通常通り相続税の配偶者控除の適用を受けることが出来るので安心です。

配偶者認知症対策信託 図2